孤高の人

すっかり過去の話になりましたが、火曜日の久しぶりの演奏会は色んな思いが混じるものになりました。とても蒸し暑い一日で台風が来ているという不安の中、天気はどうなるのかと数分おきに進路をチェックしていましたが、あれ?温帯低気圧に変わったと?最初から移動は電車一択のつもりでしたのでホッとしましたが、さて、次の課題は席取り合戦なのです。全自由席なのです。そもそもチケットを手に入れる事すら諦めていたのに、争奪戦から運よくゲット出来て、台風も立ち消え。では、早く出発して並ばないと!という所ですが、それもそこまでの情熱が傾かず・・苦笑。チケットが手に入っただけで御の字、あとは座れればいいか・・・と思っている程度で、会場についたら既に行列が2重目になっていました。お知り合いの先生方もたくさんお見えでした。音大の同級生もいまして、話に花が咲きました。座席は良い場所に座れましたが、隅から隅まで満席でぎゅうぎゅうでした。

写真で見るガジェヴはとってもハンサムで美しい男性でした。これはリストの再来みたいに、気絶するご婦人がいらっしゃるかも?どんな世界に連れて行ってくれるのだろう。。と期待が高まります。敢えてガジェヴの他の演奏は聴かないで当日を楽しみに待っていました。一曲目の前奏曲作品45は、いきなり魂を引っこ抜かれたような素晴らしい演奏で、求道者の一端と哲学者のような理屈っぽさを持ち合わせた美しい青年が突き詰めた世界が拡がっていました。こんな響きは聴いた事がなく、度肝を抜かれました。肝を抜かれるのが勢いではなく、言葉を紡ぐような語り掛けによって、美しい響きと世界観に圧倒されました。続くポロネーズ作品44。大学院生の時に演奏したことがあります。この作品は、私にとっては”扱いにくい”部類のショパンで、解釈もイマイチなままパワーで押しまくる演奏をして終えてしまった曲でしたが、ガジェヴの解釈と表現には目からウロコで・・(私と比較すること自体が大変失礼ではありますが)、こんな演奏があるんだ!という新鮮な驚きを得ました。今回は予定していたショパンの2番のソナタが、マズルカ作品56-2,3と幻想ポロネーズに差し替えられました。何かコンディションが悪いのかなと思うような演奏があり、ちょっとドキドキもしましたが、深く考え抜かれた演奏にはただただ感嘆しました。ホールの響きがもう少しあれば・・。という感想も付け加えておきます。魅惑的で沈思黙考、指先で語る音楽でした。また機会があれば、チケットがゲット出来れば、是非聴きに行きたいです。来週は火曜日が恩師のリサイタルなので、久しぶりの音楽会三昧を楽しみます。先生にお会いできるのが本当に楽しみです。

 

安佐北区 ピアノ教室 可部 あき亀山 ピアノ教室ブリランテ 演奏会 ガジェヴ アンコールのスクリャービンが誰の作品だか分からなかった・・涙