暗譜について

暗譜の歴史は、フランツ・リストが演奏会でド派手なパフォーマンスを伴った独演会を始めた事に起因します。彼は舞台の王様でありました。超絶技巧の持ち主で素晴らしいイケメン、何人もの貴族のご婦人が演奏を聴いて気絶しました。リストも気絶したとかなんとか。高貴なご婦人が自分の装飾品であるネックレスやブレスレットなど、高価なアクセサリーを舞台に投げ込む程です。
どんなに熱狂的な演奏会だったことでしょう。鍵盤も見ない、楽譜も見ないで弾くリストの影響をクララ・シューマンが受けて、暗譜のスタイルが広まったようです。
話は変わりますが、役者さんの舞台では台本を見ながら芝居はしませんね。
セリフ、間合い、全て読み込んで頭と行動の中に入れてしまって舞台で動きとセリフと表情、心の内を演じます。
音楽における暗譜も同じことだと思うのです。書かれている全てを手中にして、舞台演奏することは、ある意味パフォーマンスでもあるのです。
以前シュトックハウゼンのフルート作品を聴きましたが、楽譜に演奏者の動きまで指示してあるそうです。音楽はパフォーマンスでもあるのをリストが体現し、楽譜から離れた空間で生まれる音も表現するのが、暗譜ではないでしょうか。
視覚よりも聴覚を鋭敏にするに、見る作業を離れて音に集中して演奏する為とも考察されており、これは大いに支持します。
弾き込むと楽譜は覚えてくるものですから、暗譜はやって行きましょう。

安佐北区 ピアノ教室 可部 長西 純子ピアノ教室