パリ珍道中 ③

翌朝、昼前にパリ観光に一人で出掛けました。後輩は音楽院で伴奏のクラスがあるので、17時にシャンゼリゼにあるお店で待ち合わせをし、夜は一緒に演奏会に出掛ける約束をしました。
バスに乗って再びグラン・パレまで出ると、今度はコンコルド橋を渡っていざ‼︎‼︎
オルセー美術館です。
パリに着いたら絶対に行きたい場所として、オルセー美術館、オランジュリー美術館、ポンピドーセンター、ルーブル美術館と、加えてサクレ・クール寺院など、とにかく美術館巡りがしたかったのです。しかし、美術館を一日でハシゴするのは無理、オランジュリー美術館は改装工事の為に閉館中、オルセー➕ルーブルはあり得ないと諭され、夕方までオルセー美術館で過ごす事にしました。
入館前に手荷物検査がありました。
空港と同じ様にX線検査を通ったような気がします。今回の旅では何度目だろうと思いながら、ようやく通過した先に、だだっ広い空間が現れました。もともと駅だった建物を利用した美術館です。高い天井に驚き、その場所の空気に感動を覚えました。展示の仕方も素晴らしかった。一度は教科書などで目にした事のある名画の数々が実際に観れて、興奮しました。
数々の名画を堪能して満足したのですが、ある絵に出会って目が釘付けになりました。世界の起源、では無いですよ。
それは、アンリ・ルソーの、蛇遣いの女と、戦争、の絵でした。ルソーは嫌いな画家でした。モディリアーニは好きだけど、ルソーは嫌い、シャガールは好きだけどルソーの絵は単調な線で出来ていて、至極普通に見える印象を持っており、絵画として非常にツマラナイなぁと思っていたのです。しかし、絵を見た途端に強烈なインパクトを受けました。強いメッセージを絵全体が真っ直ぐに発していて、あまりの存在感に圧倒されて、しばらく動けなくなりました。もちろん、絵の大きさも他のものよりも大きかったのですが、絵に何かの想いが込められているというか、作家の意図的なものが仕込まれて描かれているのではないかと疑う位に、一瞬にして虜になりました。魂が抜かれてしまいそうでした。圧倒されました。画家の純粋さは、どうしてこんなにストレートに伝わるのでしょうか。
私はこの絵を見るためにここに来たのではないかと、そう思う位の強烈な出会いをしました。
魂を激しく揺さぶられました。
音楽は聴いている端から消えて無くなる瞬間芸術です。しかし、いいものは後年になっても、記憶に深く刻まれます。今後再びオルセー美術館に行くチャンスがあるなら、また別の印象を絵から受けるかもしれませんが、あの時の突破力は凄まじく、ストレートな表現を受けました。
音楽を絵画で表現したカンディンスキーが脳内を描いたような示唆的な絵を遺していますが、ルソーの絵には啓示的なものを感じて、未だ忘れることが出来ません。
オルセーを後にしてセーヌ川に沿って歩いてポン・ヌフを渡りました。
秋のチュイルリー公園はベンチを出して日向ぼっこしている人達がいます。そこを通過して、シャンゼリゼにあるカフェに入り、休憩をしました。

安佐北区 ピアノ教室 可部 長西 純子ピアノ教室