コンクールとは何か

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写真はホテルの窓から撮影した
クレゴリウス教会。真ん中の、遠くに見える嗒です。徒歩5分くらいの場所にありました。

1次予選では、素晴らしい演奏を披露する人もいれば、え⁇と思う人もいました。
暗譜がやっと間に合いましたの様な、本気で演奏したんだろうか⁇と疑うような演奏もありました。それが、2次予選が始まって、その、件のえ⁇と驚く演奏をした人が残っていて、目と耳を疑いました。その人は二次予選のベートーヴェンのソナタで暗譜が飛んでしまい、演奏が止まりました。何でこの人が通ったのか不思議でしたが、後から分かりました。審査員のお弟子さんでした。しかし、流石に3次予選に進むことは無く、妥当なメンバーがセミファイナルへと進みました。
その頃はヨーロッパ中のコンクールを渡り歩いている情報通のお友達と仲良しになり、裏事情など聞きながら、毎晩が陽気な宴会になっていました。
日本人は最多参加数でしたが、85%は1次予選で落選して、タフな日本人留学生達はさっさとホテルをキャンセルして、飛行機も取り直してそれぞれの国へと戻りました。それも、お金が勿体無いからと空港で夜を明かしてドイツに戻ったタフガールも居て、日本に居る私の感覚とは違い過ぎて呆気に取られました。逞しさが眩しかったです。
日本人はとにかく参加者が多いから、よほどの実力プラスαが無いとアッサリ落とされるのが通例です。
今ではコンクールを経ないで世に出ているピアニストも増えていますが、コンクールは誰もが分かる名誉の紋所なのです。たくさんの課題をこなして、ぎゅうぎゅうした中でも崩れずに勝ち残る運と体力と、気力と実力を持った者に栄光が輝きます。ロシアのピアニスト達は本気度が違い過ぎました。他のコンクールでも目の当たりにしましたが、賞金が出るので、コンクールで生活しているピアニストもいました。そんな仕事師が居る中でも、プラスαが無くとも、やはり素晴らしいと言わしめる実力を持って勝たねば負けなのです。コンクールは運と実力がものを言う勝負の世界です。得るものが多く、やってみないとわからないものです。
日本のコンクールしか経験が無かった私には、刺激が強く、また多くの他の国のピアニストと知り合った事は財産になりました。

安佐北区 ピアノ教室 可部 長西 純子ピアノ教室